企業内保育所の共同設置
保育施設の設置方式は、「単独設置・単独利用」「単独設置・共同利用」「共同設置・共同利用」「保育事業者設置型」に分けられます。そのうちの「共同設置」とは、どのような設置方法なのでしょうか。
ここでは企業内保育所の共同設置方式の概要、メリットとデメリット、単独設置の際の注意点を解説します。
企業内保育所の共同設置とは?
共同設置とは、企業内保育所を設置する際、他の企業と共同で設置・利用する方法を指します。自社のみで設置を行う「単独設置」とは反対に、複数の企業が共同で設置する方式です。
保育所の設置に関わっている企業が2つ以上で「共同」となり、複数の企業が1つの保育所を利用します。
企業内保育所を共同設置するメリット
企業内保育所を単独設置するメリットをみていきましょう。
定員割れのリスクが少ない
共同設置の場合、複数の企業から利用者が保育所に集まるため、定員割れのリスクが単独設置・単独利用に比べて少なくなります。
他の企業や地域の人々を受け入れると、それぞれのニーズを把握したうえで保育所の方向性を決めていかなければなりませんが、自社のみに限定すれば社内のニーズを反映した保育所として運営が行えます。
地域からも募集をかけられる
規模が小さく、企業だけでは十分な利用者が集まらないケースについては、周辺地域に声掛けをして利用先を確保することも可能です。
その場合、社員への福利厚生の一環としてだけではなく地域社会への貢献にもなり、設置場所によらない柔軟な対応は企業のイメージアップにも役立つでしょう。
企業内保育所を共同設置するデメリット
企業内保育所を共同設置するデメリットは以下の通りです。
認可外保育所である
企業内保育所は認可施設ではない「認可外保育所」です。そのため、施設の設置から園児・保育士の募集までをすべて設置企業が行う必要があります。スムーズな運営のためには設置・募集・運営にかかるコスト面をクリアし、設置企業間でも緊密に連携をとっていく必要があるでしょう。
契約に関する取り決め
共同設置の場合、設置事業者が「連携契約書(共同利用契約書)」を取り交わし、預け入れ枠や負担金の割合、保育サービスの内容などを取り決めます。共同利用契約料の設定は自由ですが、契約料が発生する場合もあるため、内容については相手企業と確認のうえ、双方が納得のいくものにしなくてはなりません。
企業内保育所を共同設置するときの注意点
企業内保育所を単独設置するときの注意点は大きく分けて2点です。
適切な設置場所を選ぶ
共同設置の保育所については、複数の企業や地域で利用することを考え、利用者に適した場所選びが重要です。たとえば自社の中や事業所等の建物内、敷地内のほか、公共交通機関でアクセスがしやすい場所、社宅など従業員の居住エリアへの設置なども検討できます。
その際、設置する企業は利用者の利便性とともに利用者の安定的な確保が可能であるか、運営にかかるコストが負担になりすぎないかなどを検討する必要があります。
直営または委託を検討
企業内保育所は、自社で運営する自主運営方式、または外部の保育事業者に運営を委託する方式のどちらにするかを検討します。共同設置の場合、相手先企業との話し合いのもとで直営か委託かを検討します。