開設のメリット・デメリット
待機児童などの問題を解消するために、企業内保育所が注目されているようです。企業内保育所を開設することによる企業側にもメリットが多くあるので、くわしく紹介していきます。
メリット1.育児のための退職者が減る
企業内保育所を設置する最大のメリットは、出産・育児を理由に退職をする社員の減少や、産休からの早期復帰が見込めること。
どんなに働きたいという意欲があったとしても、子どもを預ける場所がなければ離職するしかありません。待機児童ゼロなどと言っていても、実際は未だに解決できておらず、都心部ほど預け先に困っている保護者は多くいます。
企業内保育所さえあれば従業員が預ける場所を探す手間もなくなり、スムーズに職場復帰することが可能です。さらに、比較的早期復帰ができるケースも多くなり、仕事的にも助かることが増えるでしょう。
メリット2.育児と仕事の両立
企業内保育所があれば、会社と預け場所が近くなります。そのため、保育所の送迎の時間を大幅に短縮することができ、効率的に時間を活用することができるでしょう。
また子供が体調不良などのときも迅速に駆け付けやすいメリットもあり、保護者も安心感を持って仕事に取り組めるはず。育児と仕事の両立が上手くできるようになることで、働くモチベーションのアップにもつながります。
メリット3.企業イメージのアップ
企業内保育所は「子育て世帯に優しい」「パパママ応援企業」など、企業のイメージアップを図ることができるでしょう。さらに、企業内保育所があることで、将来子どもを育てたいと考えている人が就職先に選ぶ可能性も高まります。
また地域の子どもも受け入れるような地域枠を設けていれば、より地域貢献度も高くなるでしょう。近隣からの評判も高くなり、さらに企業イメージアップにつながります。
企業にとってもメリットの多い取り組み
企業内保育所を開設するにあたって、費用面などデメリットがあるのも事実です。しかし、開設することで離職率が下がる、求職者へのアピールに繋がるなど、企業にとって多くのメリットを得られます。
女性の社会進出も進み、共働きの家庭も増加しています。また、核家族化などから、保育所など子どもを預ける場所を必要とする家庭は今後も増えていくでしょう。
さらに、待機児童解消するために、政府も企業主導型保育事業などの取り組みを進めています。企業内保育所は企業にとっても、従業員にとっても魅力的な取り組みです。
現状だけでなく、将来的な視点からも「企業内保育所」の開設を検討してみてください。
企業内保育所にデメリットはあるの?
保護者側から見たデメリット・気になる点
休日は利用できないケースが多い
企業内保育所は、さまざまな事業形態に対応できる自由度の高い保育を実施しているのが魅力ですが、企業の休日や従業員の勤務日外は利用できないケースが多く、不便さが目立つことも。そのため休日育児に追われ、十分な休息を取れない可能性があります。
通勤時子どもを連れていくのが負担
公共交通機関を利用して通勤する場合、「ラッシュ時に子どもがケガをしたり、周囲の人へ迷惑をかけたりするかもしれない」と不安を感じる人もいるでしょう。近所の保育施設を利用するのとは違い、企業内保育所は子どもと一緒に通勤しなければならず、トラブルを避けるため混雑時を避けて通勤する、自家用車を使用するなどの工夫する必要があります。
保育士間・保護者への情報共有が不安
保育士の雇用形態として、時間によって入れ替わるシフト制がとられている場合があります。保育途中で保育士が交代するので、子どもの健康状態や情報に関して引継ぎコストが発生。施設ごとの運営体制にも左右されますが、保育士間あるいは保育士・保護者間でしっかりと情報共有できているのか、気がかりとなる可能性もあります。
地域の保育園に比べるとイベントが少ない
保育の質が高いと言われる反面、地域の認可保育園と比較するとイベントが少ない場合も。企業内保育所は保育人数が少なく、運動会や季節ごとの行事はほとんど開催されません。戸外遊びのできるスペースが無い場合もあり、「のびのびと身体を動かして遊んでほしい」「さまざまな経験をさせてあげたい」と考えている人は、物足りなさを感じるでしょう。
企業側から見たデメリット・気になる点
コストがかかる
施設整備費について補助金制度は利用できますが、必要な時すぐに支給してもらえるわけではありません。補助金が振り込まれるのは施設完成後であるため、あらかじめ施工費用を確保しておく必要が生じます。また運営に関する補助金も開園後の支給になるので、開園に際しての人件費や備品購入費の出費は避けられません。
全事業所での公平な設置は難しい
複数の事業所を構えている企業の場合、保育所を開設するのが難しい事業所も存在するでしょう。保育所自体は設置できても、施設の広さや形態の違いによって均一なサービスの提供が困難なケースも。事業所によって保育サービスの内容が異なる可能性があるため、利用者の間に不満が生まれてしまう可能性があります。